KOBAYASHI-City in Miyazaki Vol.22018.12.18

食の宝庫と呼ばれる宮崎県。その中でも小林市は、レストランひらまつ広尾にとって欠かせない場所です。この地は盆地という地形に恵まれ、寒暖差が大きくあり、その気候は作物の生育にとって様々な恩恵を与えている。

市には名水百選にも選ばれた“出の湧き水(いでのやまゆうすい)”が朗々と湧き出でて、その名水を利用してチョウザメの人工孵化も行われている。

恵まれた気候と、湧き出る水。作物にとっての好条件が揃っているだけに、農業も盛んで、極めてクオリティの高い作物が育つ。

そんな、小林市には平松大樹シェフにとって欠かすことのできない食材が存在する。

 

親子二代で慈しむ、谷山ぶどう園の意地

谷山ぶどう園は良質なブドウの生産者として全国に知られているが、その希少なブドウは谷山親子の徹底した土へのこだわりから生まれる。

「これは、と満足できるブドウしか出荷しないから、お待たせすることが多いんですよ」。豪快に笑う父・谷山正人さん。西諸弁が混じり、お国柄が感じられる。

こだわりを語る谷山正人氏

その“満足できるブドウ”のために谷山ぶどう園の土へのこだわりは強く、じっくり時間をかけて作られる。

「穀物堆肥を1年間ゆっくりと寝かせた後、米ヌカ、魚粉、石灰などを混ぜて、 さらに2、3年寝かせた有機質肥料で土づくりをしています。そこから育つブドウは甘みもしっかりとあり、ブドウ本来の美味しさが凝縮しているのです」。

これは!というシャインマスカットを口に含む。口中に広がる香りと甘さ、

「うまい!」と思わず口をつくシェフのお墨付きも納得だ。

フランス料理ではデザートに限らず料理にもブドウを使うこともあり、それだけに完成度の高いブドウは欠かすことができない。

谷山ぶどう園のブドウを堪能する平松大樹シェフと後藤支配人

「ヨーロッパ系のシャインマスカットも美味しいけれど、クイーンニーナというアメリカ系のブドウも美味しいです」。

勧められるままに、食べる。この甘さも格別。

ブドウというシンプルな果実がここまで豊潤になるとはという驚き。食材の力は、土と光と水の傑作と言えるのではないか。

谷山さん親子

谷山ぶどう園

https://www.taniyama-budouen.jp/

 

高原で笑顔が作る、絶品の野菜

次に向かった梶並農園(生駒高原農園)は、通常の農園とはちょっと趣が違う。

「ここはシェフたちにとって欠かすことができない農場です」。

平松大樹シェフのこの言葉の意味は、梶並達明さんに会った瞬間に理解できた。梶並さんの農園は霧島山に近い生駒高原に位置する。清々しいほどに空気が澄み、風が流れる場所だ。

「色々な野菜を次から次へと作っているんです。シェフたちがやってきて、こんな野菜は作れないかとか、種を持ってくる人もいるくらいです(笑)」。

事実、フレンチのシェフだけでなくイタリアン、中華料理、エスニックなど様々なシェフが梶並さんを頼りに、やってくる。

「シェフたちが自分で収穫して行ったりもするし、採りたての野菜を使ってウチのピザ窯で料理したりもするんです」。

奥様の和枝さんも同じく笑顔で答えてくださる。

「一つの野菜を作り続けるのもいいけれど、色々な野菜を作っていく楽しみというのがありますね。ただ、何よりも大切にしているのは農薬を可能な限り使わないこと。生のまま食べても安全な野菜を作っていくこと。これが私たちの野菜づくりの基本です」。

減農薬農法だけに土の性格を知り尽くす必要がある

虫たちとの戦いもあり、気候の変化との付き合いもあり、実際は気を抜けない日々が続いているのだろうが、ご夫婦にはそんな苦労も微塵も感じられないのが、不思議といえば不思議だ。

安全でなおかつ美味しい野菜。他では作られない野菜も、シェフたちの要望に応じてトライする。

「僕たちが作った野菜を、シェフたちがどんなに美味しい料理に仕上げてくれるのかを想像するのも楽しいですよ」。

様々な種類の世界の野菜を育てる。種から持ち込まれることもある

傍にあった葉っぱを器用に折りたたみ、バッタを作ってくれる。ここにも土と光と水が織りなすハーモニーがあるようだ。

「梶並さんから送られてくる野菜たちは、まるで梶並さんの人となりがそこにあるようにさえ感じられるのです」。

土と光と水に、梶並夫妻の笑顔を加えた美味しさ。それがレストランひらまつ 広尾の料理に輝きを加えている。

梶並さんご夫妻
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Masashi Nagao
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