Rich Environment produces Rich Food Ingredients
– Hiroshima Vol.1 –2019.06.21

広島県は瀬戸内海に面したエリアと山間部の二つの側面がある。瀬戸内海側は年間を通して温暖で数多くの柑橘類や豊富な海産物が魅力のエリア。山間部は盆地では気温の差が激しく、生活は厳しくとも滋味深い農作物が産まれるという。シェフ・平松大樹の新しい味への旅は、そんな広島ならではの食材を求めて始まった。

牛、山羊の幸せな生活から生まれるチーズとは

今回訪れたのは、広島県の北部、三次(みよし)盆地の中心エリアにある三良坂(みらさか)町。この町のはずれと言ってもいい場所にぽつんと“三良坂フロマージュ”がある。海外でも高い評価を得、全国からの注文が殺到するというチーズ作りの名手、松原正典さんによるチーズ工房だ。ショップから目と鼻の先にある牧場では、そのチーズ作りの原点とも言える、牛や山羊たちがのんびりと、しかものびのびと生活している。

「これは山地酪農というスタイルで、できるだけ自然な状態で牛や山羊を育てるという方法を取っています」。

 松原さんの強い思いは、時間をかけて作り上げられた確固たるもの。ここに至るには数々の経験が積み重ねられているという。この街で生まれ大阪で育ち、学校卒業後に酪農を志してアメリカやオーストラリアに渡り近代的な酪農を経験。そこから、牛たちの本当の幸せとは?酪農のあるべき姿とは?という思い至り、山地酪農を目指すことになる。ただ山地を知るために林業に2年間携わったり、その後フランス、イタリアに渡りチーズづくりを本格的に学んだりと、着実に一歩一歩自分の理想へと向かったというストーリーがある。

「放牧でのびのびと育った牛たちにストレスをかけないように、搾乳の回数も減らし、彼らの大切な命の営みを一滴も無駄にしないという思いでチーズを作っています」。

 実際に、牛や山羊が放牧されている牧場へ向かうと、のんびりと牛たちが草を食み、山羊たちが山肌をのんびりと散歩しているのに出会う。

人が珍しいのか、シェフ平松に人懐っこく近づいていく牛たち。

「ここの牛は、近代的な酪農農家の牛たちの何倍も長生きするんです」。

自然との共生。言葉では簡単ですが実際に行うことのハードルと熱意があってこそ、三良坂フロマージュは成立しているのだと感じた。

どこまでもフレッシュ!チーズ本来の美味しさの凝縮。

数々のコンクールで賞を獲得している三良坂フロマージュのチーズ。その味わいの最大の特徴はフレッシュさと言える。季節ごとに食べる餌や草の種類により、ミルクの味も変化し、それに合わせたチーズ作りを行うそうだ。それだけ季節感がしっかりと伝わるチーズと言えるのだ。

一方で長期熟成によるチーズの味わいも格別。三良坂フロマージュで飼育されているブラウンスイス牛のフレッシュなミルクから作られるチーズ、柏の葉で包まれたり、燻製されたりする熟成チーズ。そして放牧で元気一杯に育った山羊のミルクから生まれる、傑作チーズたち。

チーズという脇役的な食材が見事に主役へと躍り出るようだ。

 

レストランひらまつ 広尾でも三良坂フロマージュのチーズを取り揃え、食後の一皿として、存分にお楽しみいただけるようご用意しています。

左から) レストランひらまつ広尾 サービス 河野雅美、三良坂フロマージュ 松原正典さん、郁衣さんご夫妻、シェフ・平松大樹

三良坂フロマージュ

Adress: 広島県三次市三良坂町仁賀1617-1

Tel: 0824-44-2773  Fax: 082-553-0752

営業時間:10:00~17:00

定休日:日曜日

URLhttps://m-fromage.com

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Words :
Paragraph Ltd.
Photography :
Masashi Nagao
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