Journey through a region with a long history and rich traditions – Tottori Vol.1 –2019.08.13

福田養蜂場 福田邦宏さん

中国地方の日本海側に位置する鳥取県は、関東以東の人々にとって馴染みの薄いエリアではないだろうか。しかし、この地は日本書紀などにも登場する数々の神話に彩られたエリアでもある。

この地を訪れた目的は二つあり、一つは食材、もう一つはこの地のモノづくりにあった。今回はその中でも“レストランひらまつ 広尾”に縁の深い食材についてお話しようと思う。

 

砂丘の里を飛ぶミツバチたち

鳥取と聞いてまず頭に浮かぶのが、鳥取砂丘。その砂丘で養蜂を営むという話を聞き訪ねてみた。あいにく今回はアカシアの花の開花が遅れ、砂丘での採蜜は叶わなかったが、田植え前に植えられるレンゲからの採蜜を行うことができた。

元気に飛び回るミツバチ、花咲くレンゲの香り、その凝縮としての蜂蜜。

ここで養蜂を営むのが福田養蜂場だ。

れんげの花が一面に咲き誇る

福田養蜂場は、万葉の時代よりその美しさを讃えられた因幡三山の一つ、今木山の麓に位置するという、自然豊かな環境にある。レンゲ畑は東京ドームの約10倍とも言われる50ヘクタールもの広大さ。それに加え、様々な花を植樹し蜜源作りからも行うという稀有な養蜂家だ。

「ミツバチは私たちにとって、家族の一員のようなもの」そう語る福田さんは一家総出で蜂蜜作りを行う。

「純国産の蜂蜜が希少になっているだけに、私たちは国産で無農薬にこだわって生産しているんです」。

そのこだわりが見事に結実した蜂蜜は、花の蜜が凝縮されていてクセがなく、とても滑らかなのが特徴だ。

無数の蜜蜂が上質なハチミツを生み出す

「だから、チーズとの相性がとてもよく、私たちのフランス料理に欠かせないものとなっているのです」そう言うシェフ 平松大樹の言葉通り、ミツバチと自然の織りなす物語が生んだ、優しい甘さに感動するのだった。

不純物を取り除き、最高品質の製品へ

 

山里深くジビエの工場へ

“わかさ29工房”を訪問した、レストランひらまつ 広尾 シェフ 平松大樹とサービスの若林友善、そして“わかさ29工房”代表の河戸 健 さん

鳥取県の東部、兵庫県との境に位置する若桜町。この近辺は山地が広がり、そこに生息する鹿たちが近年増えすぎたことで、農業にも大きな被害が及んでいる。そこで駆除するだけでなく、捕獲された鹿たちをジビエとして有効活用しようと言う試みが、この町でスタートした。

鳥取県の食品安全基準をクリアした食肉加工場として生まれたのが“わかさ29工房”と言う施設。ここでは、解体から食用としての選別、冷凍から出荷までの一元管理を行っている。

「鹿肉の鮮度とクオリティを十分に保っているので、シェフたちにも満足していただけるジビエを提供できるようになりました」。

この施設を運営する河戸さんは、ジビエ処理の第一人者として知られる名人だ。その手さばきの見事さは、解体と言うイメージとは程遠く、流れるような作業で肉へと切り分けられていく。

「鮮度が勝負なので、ゆっくりなんてしていられないんです」と笑う河戸さん。シェフも「この鮮度の高さは、料理の幅を広げてくれるはずです」と絶賛する。

山深い地で、人と自然が共存しつつ新しい可能性を切り開こうと言う試み。そこからの恵みを食するのだという想いを新たにする旅だった。

河戸 健さんと、“わかさ29工房”スタッフの方々
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Journey through a region with a long history and rich traditions – Tottori Vol.1 –
Words :
Y. Nag
Photography :
Masashi Nagao
Keywords :
gibier
honey
Tottori