◆青森県産「野辺地かぶ」

津軽の寒冷な気候と粘土質の土壌で育てられる伝統野菜「野辺地(のへじ)かぶ」。その白く美しい肌と、ほのかな甘み、雪解け水に近い清らかさを感じる香りは、他のかぶにはない繊細さが魅力です。地元では漬物や煮物にも使われますが、当店ではジュレやスープ、あるいは冷前菜のアクセントとして使用。シンプルに見えて、実は主役を張れる力を秘めた素材です。


◆静岡県富士宮産「大々鱒(だいだいます)」

富士山の伏流水により磨かれた環境で育てられる、幻とも言われる淡水魚「大々鱒」。養殖に適した穏やかな気候と清らかな水により、しっかりとした身質と雑味のない脂が形成されます。鮮やかな身色と絹のような舌触りは、まさに“和のサーモン”。夏の爽やかさを引き立てるよう、マリネや低温調理などで、素材の透明感を最大限に活かしています。


◆鹿児島県産「アオリイカ」

九州南部の黒潮流れる海で水揚げされるアオリイカは、身が厚く、噛むほどに広がる上品な甘みが特徴。特に鹿児島産は肉質が締まり、透明感のある身が持続する“鮮度勝負”の高級食材です。仕入れ後はすぐに氷温管理し、やわらかな甘みとコクを逃さず提供いたします。火入れは最小限に、ソースや柑橘の香りと合わせて軽やかな一皿に仕立てます。


◆北海道産「天然蝦夷鮑」

冷涼な北海道の海で育つ天然蝦夷鮑は、潮の流れが激しい岩礁で育つため身が締まり、濃厚な旨味と心地よい食感が際立ちます。採取に制限がある希少な天然個体は、その味わいの力強さから“海の黒いダイヤ”とも称されます。当店ではムニエルやポシェにし、肝のソースや山椒の香りと組み合わせ、和と仏のエスプリを融合させています。


◆宮崎県産「佐土原茄子」

全国の料理人が注目するブランド茄子。佐土原町の赤土で育つこの茄子は、皮が極めて薄く、加熱するととろけるような食感に。特に夏場は旨味と香りが増し、瑞々しさの中にほのかな甘みが宿ります。オリーブオイルやブイヨンと合わせ、温菜や冷製アントレなどに展開。油を吸いすぎず、品のある風味が残るのも、この茄子の特性です。


◆宮崎県 横山さんの「完熟マンゴー」

太陽の恵みと匠の手入れが生んだ果実の芸術品。横山さんが育てるマンゴーは、1果ずつネットで吊るして自然落果させる“樹上完熟”。これにより糖度は20度近くまで上がり、トロピカルな香りと濃厚な味わいが特徴となります。デザートとしてだけでなく、フォアグラとの組み合わせや冷製スープとしても登場。まさに「果物で料理を創る」素材です。


料理は、食材との対話から生まれます。一つひとつの素材が持つ個性と、生産者の想いを感じながら生まれる、季節限定のひと皿をぜひご堪能ください。

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